あどけない話

Internet technologies

TLS 1.3 開発日記 その11 NSS

NSSのビルド 以下を参照: https://github.com/bifurcation/mint (変更:)ブランチ: default は draft 22 NSSサーバの動かし方 共有ライブラリを使っている場合は、適当にパスを加える。nssroot ディレクトリで: % ./dist/$PLATFORM/bin/selfserv -d tests_…

TLS 1.3 開発日記 その10 NSSサーバ

TLS 1.3 のテスト用に公開されているNSSサーバは2つあります。 https://franziskuskiefer.de:9913/ https://tls13.crypto.mozilla.org/ Haskell TLS 1.3 client では、前者とフルハンドシェイクできるのですが、後者は handshake error を返してきます。一方…

TLS 1.3 開発日記 その9 NewSessionTicket

kazuho さんと議論したメモ:サーバが送るNewSessionTicketは、当然セッションチケットを入れないければならない。以下の構造では ticket がそれにあたる: struct { uint32 ticket_lifetime; uint32 ticket_age_add; opaque ticket; Extension extensions; …

TLS 1.3 開発日記 その8 開発メモ

これは、http2 Advent Calendar 2016の25日目の記事です。この記事では、HaskellでTLS 1.3を開発した際に難しかった点をまとめます。自分のための覚書です。TLS 1.3のみをフルスクラッチで書くと、そこまで難しくないのかもしれませんが、TLS 1.2以前と共存…

TLS 1.3 開発日記 その7 0RTT

これは、http2 Advent Calendar 2016の24日目の記事です。この記事では、TLS 1.3 の4番目のハンドシェイクである 0RTT について説明します。0RTTとは、アプリケーションが目的の通信を始めるまでに、下位の層でパケットのやりとりがないことを意味します。準…

TLS 1.3 開発日記 その6 Pre Shared Key

これは、http2 Advent Calendar 2016の13日目の記事です。今日は、TLS 1.3 の第三番目のハンドシェイクである PSK (Pre Shared Key)について説明します。みなさんは、Pre Shared Key という言葉から何をイメージしますか? 多くの方は、通信路の暗号化に使う…

TLS 1.3 開発日記 その5 Hello Retry Request

これは、http2 Advent Calendar 2016の12日目の記事です。今日は、第2番目のハンドシェイクである HRR (Hello Retry Request)について説明します。HRR とは、サーバがクライアントに Hello を再要求し、フルハンドシェイクをやり直すハンドシェイクです。以…

TLS 1.3 開発日記 その4 フルハンドシェイク

これは、http2 Advent Calendar 2016の8日目の記事です。今回はTLS 1.3のフルハンドシェイクについて書きます。 TLS 1.2のフルハンドシェイク おさらいとして、RFC5246からTLS 1.2のフルハンドシェイクの図を少し変更して抜粋します。角カッコは暗号化されて…

TLS 1.3 開発日記 その3 バージョン

これは、http2 Advent Calendar 2016の7日目の記事です。今回はTLSのバージョンについて書きます。TLSのバージョンは、Client Hello と Server Hello を交換することで決めます。 Client Hello TLS 1.3 の Client Hello は、TLS 1.2 と互換性を維持するため…

TLS 1.3 開発日記 その2 暗号スイート

これは、http2 Advent Calendar 2016の3日目の記事です。今回は暗号スイートについて書きます。TLS 1.2 の暗号スイートは、たとえば以下のような感じでした。 TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256 これは次のような意味です。 鍵交換は使い捨て楕円Diffie…

TLS 1.3 開発日記 その1 実装状況

これは、http2 Advent Calendar 2016の1日目の記事です。現在、IETF で TLS 1.3 の標準化が大詰めを迎えています。僕も TLS 1.3 の標準化に参加しており、仕様の分かりにくい部分を直したり、TLS 1.3 を Haskell で実装したりしています。この開発日記のシリ…

重複したフィールドラベル

Haskell 2010 では、同じファイルに重複したフィールドラベルを定義できない。たとえば、以下はエラーになる。 data Foo = Foo { same :: Int } data Bar = Bar { same :: Float } -- これはダメ この問題を解決する案は、OverloadedRecordFields と呼ばれ、…

h2load を使おう

これはhttp2 Advent Calendar 2015の25日目の記事です。これまで web サーバのスループットを図るには weighttp が定番でしたが、これから h2load を使いましょう。h2load は、nghttp2と一緒に配布されているベンチマークツールです。以下のような特徴があり…

GHC とスペースとリーク

これはHaskellスペースリーク Advent Calendar 2015の17日目の記事です。 :sprint と MonomorphismRestriction サンクのリークを防ぐには、どの式がサンクかを理解する必要がある。そのために便利なのが、GHCiの:sprint コマンドだ。MonomorphismRestriction…

スレッドリーク

これはHaskellスペースリーク Advent Calendar 2015の14日目の記事です。スレッドリークとは一般的に、終了させることを忘れたスレッドが残り続けることを言う。これは終了させ忘れたのが悪いという他ない。一方で、GHC では、スレッドを終了させたにもかか…

にせ末尾再帰

これはHaskellスペースリーク Advent Calendar 2015の8日目の記事です。IOのコードは、普通に書けば末尾呼び出しの最適化が効く形になる。たとえば、こんな感じ: foo :: Char -> String -> IO Int foo a b = do c <- bar a b zoo b c woo c woo :: Int -> I…

[Haskell]僕が人生で起こした唯一のスペースリーク

これは、Haskellスペースリーク Advent Calendar 2015の7日目の記事です。僕は Haskell で主に IO なコードを書いているからか、あまりスペースリークを起こしたことがない。これまで起こした唯一のスペースリークは、サーバプログラムの中の以下のようなコ…

Strict Haskell

次のバージョンである GHC 8.0 では、正格評価用のプラグマして Strict と StrictData が提供されます。環境を作ってみたので、少し試しました。以下のファイルを用意します。 {-# LANGUAGE DeriveFunctor #-} module A where data List a = Nil | Cons a (L…

Haskell の Monad とは言語内DSLのフレームワークである

この記事は、Haskellを勉強してある程度分かったけど、Monadで挫折した人のための記事です。10分間で、Monadに対する納得感を得ることを目的としています。他の言語でいう「モナド」にも通用する内容ですが、Haskell の文法や用語を用いますので、他の言語の…

Haskell Relational Record をリリースしました

Haskell Relational Record (HRR)尻叩き担当の山本です。この記事では、HRR のリリースについて説明します。なお、これは Haskell Advent Calendar 2014 の25日目の記事です。 HRR とは何か? HRRは、日比野さんが中心となって開発が進められている関係代数…

HTTP/2から見えるTLS事情

これは HTTP/2 アドベントカレンダー19日目の記事です。この記事はたくさんの資料を読んだ上で書きましたが、間違いとか勘違いとかがあるかもしれません。もしあれば、指摘していただけると幸いです。 実質的に必須となったTLS HTTP/2は、HTTP/1.1と同じく、…

HTTP/2 Frame test case の使い方

これは HTTP2 Advent Calendar 2014の4日目の記事です。日本のHTTP/2 コミュニティでは、相互接続性を検証するためにHPACK test caseを作成し、好評を得ました。現在は、Frame test caseの作成に取り組んでいます。この記事では、Frame test caseの使い方に…

Emacs 24.3/24.4 on Mac のフォント設定

Emacs で一番難しいのはフォントの設定です。特に Mac では地獄のように難しいです。とうわけで、Emacs 24.3 と来る Emacs 24.4 でうまくフォントを使うための設定を公開しておきます。なお、Mac では素の Emacs を使ってはいけません。Emacs Mac port を使…

来る Emacs 24.4 を Mac で安定させる

もうすぐリリースされる Emacs 24.4 を Mac で使うと、ほんとうにイライラします。 なぜなら、 落ちる 中国語のフォントを読もうとしてしばらく待たされる が頻発するからです。NEWS を読んでいて、以下を見つけました。 ** New Core Text based font backen…

複数のGHCを共存させる

GHC 7.8.1 がリリースされ、type family がうまく扱えない問題が発覚したため、すぐに GHC 7.8.2 がリリースされました。このおかげで Yesod が、うまくビルドできるようになりました。しばらくして、GHC 7.8.3 もリリースされる気配があります。また、一ヶ…

RSSリーダ BazQux と DNS キャッシュ

BazQux(バズクックス)は、Google Reader の代替として密かに注目されている RSS リーダです。実装と運用を一人でやっている Vladimir Shabanov さんによると、BazQux のウリは、 高速である ブログのコメントも表示できる 複数のビューがある モバイルに対応…

Real World Haskell の古いところ

Real World Haskell の内容が古くなってきたので、どこが古いかとか、それに変わる新しいものは何とか、まとめたいと思う。Real World Haskell―実戦で学ぶ関数型言語プログラミング作者: Bryan O'Sullivan,John Goerzen,Don Stewart,山下伸夫,伊東勝利,株式…

Implementation and Analysis of HPACK 05

HPACK 05 has following compression mechanisms: Index By sharing learning dictionary of headers, a header can be represented as a small integer. Reference set By comparing a set of the previous indices and that of the current indices, diffe…

ByteString あれこれ

Haskell で高速なプログラムを書くには ByteString の深い知識が必要となる。鍵となるのは、Data.ByteString.Internal というモジュールである。このモジュールは公開されているが、ドキュメントは隠されているので、詳しく知るためにはソースを読まないとい…

書評: Parallel and Concurrent Programming in Haskell

Parallel and Concurrent Programming in Haskell: Techniques for Multicore and Multithreaded Programming作者:Marlow, SimonO'Reilly MediaAmazonこの本には、その名が示すように Haskell (正確には GHC(Glasgow Haskell Compiler))が提供する並列(paral…