なぜ「水飲み鳥」(あるいは「平和鳥」)が話題になったのか思い出せないのですが、いろいろ調べたときに、原理は「マックスウェルの悪魔」という本に書いてあると知りました。
新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ (ブルーバックス)
- 作者: 都筑卓司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/09/20
- メディア: 新書
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とても面白く一気に読んで、水飲み鳥の原理が分りました。もっと嬉しいことに、今までモヤモヤとしていた熱力学の疑問が解消されました。
熱とは何か
熱が原子/分子の振動であることぐらいは理解していましたが、今ひとつ釈然としていませんでした。この本を読んで、僕にはミクロの視点とマクロの視点への理解が足らなかったことが分りました。
ミクロの目で見ると、原子/分子は振動しており、運動エネルギーを持っています。マクロの目で見ると、その物体は(固体なら)止まっています。もちろん、マクロの目で見ても、その物体のエネルギーがなくなるはずがありません。そこで、熱エネルギーを持っていると考える訳です。
高いところにある物体は位置エネルギーを持ちます。支えを取り外すと、位置エネルギーを運動エネルギーに変えながら落ちていきます。地面に落ちたときに、高さは 0 になり、停止しますが、エネルギーが消滅する訳ではありません。熱エネルギー、すなわち物体や地面を構成する原子/分子の振動になる訳です。
熱力学の第一法則
たしか「永久機関は作れない」という意味だと習った気がします。しかし、これは単にエネルギーの保存の法則のことだったんですね。つまり、エネルギーの量は、不変であるということです。
ちなみに永久機関には、熱力学の第一法則を破るものと、第二法則を破るものの 2 種類があるそうです。
熱力学の第二法則
「エントロピーは増大する」と習いました。これは、単にエネルギーの質に関する法則だったんですね。エネルギーの質は、悪くなる一方だということです。
次の2つのエネルギーについて考えて下さい。
- 50度のお湯 2 リットル
- 100度のお湯 1 リットルと0度のお湯1リットル
2) から 1) は作れますが、1) から 2) は作れません。混ぜるのは簡単ですが、分離はできません。両方とも熱エネルギーの量は同じですが、質は異なると考えられます。1) よりも 2) の方が質が高いのです。
もし、熱力学の第一法則しかなければ、混ぜるのは簡単だが、分離は難しいことを説明できません。また、地面に落ちた物体が周りの熱を集めて上に飛び上がることはない理由を説明できません。
ですから、熱力学の第二法則があるわけですね。しかし、これは経験則だそうで、破られないと確定している訳ではありません。この法則を破る仮想生物が、マックスウェルの悪魔だそうです。(たぶん、守護神というニュアンスたんだろうと思います。)