あどけない話

Internet technologies

IPv6移行では日本の道を誤る

【後編】IPv6移行では日本の道を誤る,グーグル独占には危険な香りで、IPv6 に関して技術的に間違っているところを指摘しておきます。

IPv6 マルチキャスト

公文 IPv6マルチキャストをやると,どのぐらい高くなるのですか。

平宮 はっきりは分からないのですが,サーバーも強力なものを用意しなければならないし,ルーターにも非常に処理性能の高いものが必要になります。サーバーもルーターも,今より何十倍も強力なものにしなければならないでしょう。

いいえ。IPv6 で非常に処理性能が高いルータやサーバが必要になるのなら、IPv4 で実現しても同じです。もちろん、共に製品があればの話です。IPv4IPv6 とでは、アドレス空間の大きさ以外、ほとんど違いはありません。

8+8

公文 では,平宮さんはどうすれば安くなると言うのですか。

平宮 IPプロトコル自体を再設計し直すべきだと思っています。IPプロトコルの場合,プロセスの集合がホストで,ホストの集合がネットで,ネットとネットをつなぐものがインターネットだという考え方です。しかし,IPv4IPv6は,ホストを識別するデータと,ネットを識別するデータが混然一体となっており,ホストはネットの中でしかユニークさを保証されていない。これが,マルチキャストを非常に難しくしています。

また新しいプロトコルを提案しても、IPv4 と互換性を保つことは不可能なので、IPv6 と同様に普及に大変長い時間がかかります。

 どうすればいいかというと,レイヤー3プロトコルをネット・アドレスとホスト・アドレスを完全に分離して,両方をユニークなものにすることです。そうすれば,ネットという概念とは別の概念として,ホストをグルーピングすることができる。そうしない限り,機械コストが非常に高くなってしまうでしょう。
 かつて,IPv6でそうすべきだという意見がありました。前半の64ビットをネット・アドレス,後半の64ビットをホスト・アドレスにする案です。ところがいつの間にか,この方式が消えてしまった。IPv6はその後肥大化し,化け物プロトコルになってしまいました。これをもう捨ててしまって,新しいプロトコルを作った方がいいのではないでしょうか。

これは、8+8 と言われていた技術です。8+8 自体は、面白い技術でした。

しかし、8+8 を採用したからといって、マルチキャストが安価に実現できる訳ではありません。

その後、IPv6 は肥大化なんてしていませんし、化け物プロトコルにもなっていません。むしろ、IPv4 とまったく変わらなかったので、IPv6 独自のキラーアプリが生まれませんでした。