あどけない話

Internet technologies

ENMA

インターネットの黎明期のころ、IIJ は開発力のある会社だと見られていたと思います。IIJ PPP や DES の実装、あるいは jcode.pl あたりが有名だったでしょうか。

残念ながら、ここしばらくの間、ソフトウェアをリリースしてきませんでした。一般に使われているのは Mew ぐらいでしょう。

現在では、「IIJ って運用が中心で、開発なんかほとんどやっていないんでしょう?」という印象を与えているのではないかと思います。事実、新入社員の多くが開発ではなく運用を希望します。

実際には、IIJ ではたくさんの開発をやっています。しかし、それを世間にアピールしていかないと、開発志望の人は入ってこなくなり、開発力がどんどん衰えていくかもしれません。僕個人としては、この状況に危機感を覚えていました。

という訳で、今回 SPF/Sender ID の受信側の機能を実現する milter プログラムENMA をリリースしました。

株式会社インターネットイニシアティブは、メールシステムに送信ドメイン認証技術「SPF/Sender ID」を実装するメールフィルタプログラムを独自開発し、オープンソースとして無償で公開いたします。

実装したのは、2人の優秀な若者です。

libsidf

ENMA は milter プログラム(MTA のプラグライン)です。ですので、SendmailPostfix と一緒に動かします。

現時点では、ENMA ができるのは、SPF/Sender ID の認証結果をメールのヘッダに残すことだけです。将来は、僕が勝手に RPF(Receiver Policy Framework)と呼んでいる機能を実現する予定です。

今回重要なのは、ENMA がリンクする libsidf です。世の中にある SPF/Sender ID のライブラリ、つまり DNS の検索ライブラリは、どれも不安定で ISP での使用には耐えられません。これらのライブラリの運用経験を元に、一から独自に開発したのが libsidf です。

ドメイン認証の普及率に対する測定結果に示したように、.jp 以下のドメインの 1/4 は SPF レコードを宣言していますから、受信側で利用しない手はありません。ぜひ ENMA を使ってみて下さい。

将来は、もっとソフトウェアをリリースして、(僕が勝手に言っている) IIJAN (IIJ Archive Network) が作れればいいなぁと思います。:)