あどけない話

Internet technologies

2013-01-01から1年間の記事一覧

Haskell ポインタープログラミング

早いもので、今年も12月25日となりました。メリークリスマス! うちのちびっ子怪獣たちも、サンタさんに書いた手紙通り、レゴをもらってご満悦のようです。そして今日は、Haskell Advent Calendar 2013 の最終日でもあります。 Haskellらしい? 「純粋なコー…

Haskellでデザインレシピ

お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授 浅井健一さんインタビューを読んで、思い出しだので書いておきます。デザインレシピを使ったプログラミングを実践するなら Haskell が最適です。以下に簡単な例を示します。 目的 作成するプログラムが何をするの…

Building GHC head on Mavericks with Xcode 5

Updated on 4 Dec 2013.I upgraded to Mavericks and Xcode 5. There is still "gcc" but it is in fact "clang": % which gcc /usr/bin/gcc % gcc --version Configured with: --prefix=/Applications/Xcode.app/Contents/Developer/usr --with-gxx-include…

[Haskell] GHC 7.8 と静的/動的ライブラリ

これまで Twitter でさんざん間違った情報を流してきましたので、反省して正しい情報を書いておきます。おそらく、これで間違いないです。 GHC 7.8 自体 GHC 7.8 自体は動的リンクされます ちなみに、GHC 7.8 から、GHC 自体が -O2 でコンパイルされます。(…

cabal 1.18 が提供するサンドボックスの小技

cabal 1.18 のサンドボックスがどういう機能か知らない人は、An Introduction to Cabal sandboxes か 2013年8月現在のHaskell開発環境をどうぞ。それで、sandbox サブコマンドの--sandbox オプションが早速役に立ったというお話。 --sandbox オプション パッ…

GHC と gold

GHCのコンパイル速度は、お世辞にも速いとは言えないのだが、一番イライラするのはリンクが遅いこと。これは GNU ld が遅いからである。という訳で、速いと言われる gold を使うためのメモ。GHC 7.6.3 までは gold が使えない。なぜなら、GNU ld 固有のオプ…

Hash-flooding DoS と SipHash

以前、僕が実装している web サーバ Mighty が、Haskell で書いているにも関わらず、セグメンテーションフォールトを起こしていた。調べたところ hashable ライブラリがリンクする C の DJBX33X が、SipHash に変わったことが原因だった。このときから SipHa…

Mac に ThreadScope をインストールする方法

ThreadScope は、GHC が生成する event log を可視化ツールです。以前、試行錯誤して Mac にインストールしたときのメモが出て来ました。並列並行本が出版された今、需要が高いような気もするので、公開しておきます。Parallel and Concurrent Programming i…

GHC の STG に関するまとめ

理解が深まれば、適宜更新します。 G-machine グラフ簡約のためのスタックマシン 関数適用が連なる spine (背骨)を持ち、愚直にカリー化を実現する 簡約のたびに、それぞれの項を更新 ローカル関数はラムダリフティングしてグローバル関数に直す必要がある …

書評「型システム入門」

端的に説明するなら「正しく型付けされた項はおかしくなることがない」ことを学ぶための壮大な本。型に関する圧倒的な知識を持ち、説明がうまく、根気づよい人にのみ記すことができた英語の良書が、型システムを愛する訳者と監訳者、および(書中に名前が出て…

Git に関する良記事

適宜追加します。 Pro Git 僕が読んだ Git の書籍の中では、一番分かりやすいと思いました。日本語版の書籍はありませんが、オンライン版が翻訳されています。 Pro Git 図解 Git Git の初心者が動作を理解するのにおススメ。 図解 Git こわくない git ブラン…

再帰ドリル(2):数値に対する末尾再帰

注意:github に移動しました。再帰ドリル(1)を読んでいない人は、先に読むこと。 等差数列の和 差が1の等差数列の和を素朴な再帰で実現すると以下のようになった。 soap 0 = 0 soap n = soap (n-1) + n プログラミング言語の内部をよく知っている人は、何度…

再帰ドリル(1):数値に対する素朴な再帰

注意:github に移動しました。再帰を学ぶためのドリル。使用するプログラミング言語は Haskell。このシリーズは続くかもしれないし、途中で挫折するかもしれない。乞うご期待! 等差数列の和 差が1の等差数列の和を計算する関数 soap(sum of arithmetic pro…

Haskellでの時間の取り扱い

Haskell には、以下のような時間用の型がある。この記事は、どれを使えばいいかの解説。 time ライブラリの Data.Time.Clock の UTCTime old-time ライブラリの System.Time の ClockTime base ライブラリの System.Posix.Types の EpochTime UTCTime 速度を…

代数データ型とラムダ式

代数データ型(バリアント)をラムダ式で表現する方法の備忘録。ラムダ式を表現するのに、実行可能な Haskell の無名関数を使う。間違いの指摘を歓迎します。こんな感じ: \x y z ... f g h ... -> 引数をうまく組み合わせる x y z ... の部分が、直積を表す f…

Lensことはじめ

見ろ! Haskell が OOPL のようだ! さてさて、ようやく重い腰を上げて、Lens を勉強し始めましたよ。Haksell for allを見て勉強すればいいのかなと思ったんですが、解説しているパッケージが data-lens なので古いですね。今、使うべきなのは、lens という…

[OCaml]書評「プログラミングの基礎」

僕はよく「関数プログラミングの入門書には何がいいか」という質問を受ける。そのときは必ずこの本(と他のいくつか)を答えるようにしている。書評を書いたつもりになっていが、検索してみると書いてないようなので、反省して良書を紹介してみようと思う。プ…

コンパイルは(テストではなく)証明である

「プログラムのテストはバグの存在を示すことにかけてはとても効率的な方法ですが、バグの不在を示すことにかけては絶望的なほどに不適切です。プログラムの信頼性を顕著に向上させる唯一の方法は、その正当性に対して説得力のある証明を与えることです」 --…

静的型付き言語プログラマから見た動的型付き言語

およそ20年前にAlan Kay の講演をきいたことがある。印象に残ったのは、彼が引き合いに出した McLuhan の言葉だ。 I don't know who discovered water, but it wasn't a fish. (拙訳)誰が水を発見したかは知らないが、発見者が魚でなかったことは確かだ。 誰…

PFAD(1): The smallest free number

与えられた自然数リストの中に存在しない最小の自然数を求める問題。(ここでの自然数は 0 から始まる。)素朴には、以下のように実装できる。 minfree :: [Int] -> Int minfree xs = head $ [0..] \\ xs (\\) :: Eq a => [a] -> [a] -> [a] us \\ vs = filter…

GHC でスタックトレース

これまで GHC では、スタックトレースを取ることが有効なデバッグ方法ではなかった。 なぜなら遅延評価では、(再帰であってもなくても)末尾呼び出しは単なるジャンプになるから、スタックを使わないのである。スタックに戻る場所を積むのは、case と of の中…

tailをなくしたフィボナッチ数列

以下の内容は比較的どうでもいいことなので、暇な人だけ読んで下さい。Haskell では、head と tail という関数は使うなと言われる。なぜなら、引数が空リストのときにエラーを返すからである。純粋な関数は全域関数であるべきだが、head と tail は div など…