あどけない話

Internet technologies

UnisysとLZW

LZWに震え上がった10年前の人たち」は、よく書けていると思うのですが、残念なことを一点指摘しておきます。

LZW の特許は、まず IBM に認められました。その後、特許庁の手違いで Sperry にも認められました。特許庁が、内容が同じであると気付かなかったからです。

この点を書かないと、Unisysの行為がいかにひどいか伝わらない気がします。

以下、太田くんと僕が、「UNIX知恵袋」(UNIX MAGZINE 1993年9月号)に書いた記事を引用します。

1977年と1978年に、J.Ziv氏とA.Lempel氏が当時としては画期的な圧縮アルゴリズムについての論文を発表しました。それらは、両氏の名前と発表年をとって"LZ77"、"LZ78"と呼ばれています。

1984年にT.Wdch氏がLZ78を改良した"LZW" (Ziv-Lempel-Welch) というアルゴリズムを発表しました。当時、Welch氏はSperryの研究者であり、所有者をSperryとした特許を出願しました。ところがそれより3週間早く、IBMもSperryのものより一般性のあるLZWを米国の特許庁に出願していました。特許庁は、 SperryとIBMのLZWが同一のものであることに気づかず、2社に特許を認めてしまいました。その後、SperryはBurroughsと合併してUnisysになったので、現在LZWの特許はUnisysとIBMが所有しています。

Welch氏は、発表した論文に特許出願中であることを書いていませんでした。このため、compressの作者は圧縮アルゴリズムにLZWを採用しました。 compressは当時としては優れた圧縮率を誇り、ソースも公開されていたのでUNIXの世界で急速に普及していきました。